3rd album “nostaigia” ライナーノーツ公開!


3rd album “nostalgia” 収録曲の作曲者自身によるライナーノーツを公開いたします!

(the green horn 2021 tour “nostalgia” 東京公演のプログラムノートを一部編集し掲載しています)


Alter (2020) / 尾崎勇太

大学を卒業して、よしこれからだ!とモリモリ意気込んでいた中で現れたこの芸術氷河期とともに出来上がった曲です。

Alterと言うタイトルは、曲の全体像が出来上がったタイミングでつけた名前なのですが、哲学において用いられる「Alter Ego」(オルター・エゴ)という言葉から引用しています。

「意図的に異なる人格を演ずる」という意味のこの言葉、YouTuber、フルーティスト、その他クリエーターとして所謂「マルチ」に活動する自分に対しての皮肉でもあります。

それぞれの分野に於いて中途半端に長けている自分をコンプレックスに感じることは、贅沢な感情かもしれませんが、時折自分の心を強く支配することもあります。

少々お恥ずかしい表現になりますが、そんな感情も音に、記録として残せば「こんな時代もあったな」と振り返られるかな、と思い書き上げた曲です。(尾崎勇太)


Aoniyoshi幻想曲 (2021) / beja

「あをによし 奈良の都は 咲く花の にほうがごとく 今盛りなり」 -万葉集第3巻328番歌

テーマと10の変奏によって成り立つこの作品は、奈良の都を称える上記の望郷歌からインスピレーションを受けて作曲した。1000年以上前の人々も、色付く花を見ていた、それを感じて生きていた。飛火野で鹿と遊んでいると、よくそんなことを考える。

ヒトは80年くらいしか生きないので、我々にとってそんなことは知る由のない事実であり、見ることのできない永遠の幻想、暗闇…。すっかり気が遠くなってしまうけれど、確かに存在していた同じ人の心に、生き物に、花の色に、俗事に、そこに流れていた時間に、ささやかに想いを巡らせて… (beja)


Sonata for Flute and Piano (2021edition) / beja

「the green horn 2019 tour -Duel-」の為に書き下ろした作品であるが、the green hornの2人には、ツアー終了後も積極的にこの作品を取り上げていただき、毎回とても感謝している。私は、演奏の度にこのソナタが進化する様を目の前で見てきた、そして次第に「改訂」の必要性を感じこの度「2021年版」が出来上がった。

作品のさらに美しくなった姿に、私は大変満足しているし、皆様にもそう感じていただければ幸いである。作品のコンセプトは変わらず、「霊感」と「郷愁」、そして「祈り」である。北アルプスの自然に感じた「畏敬の念」をインスピレーションに、自然と全ての生命への賛歌を描いたつもりである。

さて、改訂作業に際し、iphoneのメモアプリから作曲当時に書いていた詩のようなものを発掘した。それに手を加えたものを以下に掲載させていただきたい。初めて聴く方はもちろん、既に聴いたことのある方にも、このソナタに込めた想いを感じ取っていただければとても嬉しい。

第一楽章 Allegro con anima

 滴る水!波紋!

 こんなにも生きているのに!

 満月は私を肯定し、見下す

 尾根は私を肯定し、見下す

 星々は私を肯定し、見下す

  「なれないよ」と告げる

 流れる水!翻る空!

第二楽章 Adagio

 海に祈る 風に祈る

 空に祈る 花に祈る

 生を祈る 富を祈る

 水を祈る 愛を祈る

 分からないまま唄を歌う

 分からないから唄を歌う

 懐かしくて涙が出そうだ

第三楽章 -Fantasie- Allegro grandioso

 4000年も暗くなり無限の1秒

 2000年も暗くなり無限の1秒

 80年も暗くなり無限の1秒

 鳴り響く鐘、…鼓動!

 「嗚呼、山が見える」

(beja)


Silent Summer (2020) / 久保亮太

今回初めてフルートとピアノのための曲を作曲しました。

題名の通り「静かな夏」がテーマです。

「静か」と言ってもそれは完全な静寂ではありません。

 初夏、まだ誰もいない海辺に一人佇む。

 聞こえてくるのは寄せてくる波の音。

 海の匂いを運んでくる穏やかな風。

 照りつける日差しが肌を焼く。

 そんな一人だけの世界で在りし日のことを思い出す。

 幼き日の思い出、友情、終わった恋、、、

 二度と戻らない日々に思いを馳せ、

 そしてまた始まる煌めく夏に心躍らせる

そのようなイメージからこの曲が出来上がりました。

皆さんの中にある夏の想い出に寄り添うような曲になればと思っています。(久保亮太)


3rd album “nostalgia” は各種音楽配信サイトで聴くことができます。

以下のリンクから各配信サイトにアクセスできますので是非お聴きください!



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